世間がハロウィーンに浮かれている間、夜を徹して働いていた人たちがいる。
私は、起業する前にある2つの企業グループに在籍していた。その1つ、
2004年まで在籍していた外資系のシティグループ・リテール事業
(シティバンク・シティカード)が
2015年11月1日、日本資本財閥に統合された。
渋谷のスクランブル交差点では、ハロウィーンの狂乱に
浮かれている中、システム統合にあたったスタッフは
11月1日の統合に身を削っていたことだろう。
アメリカ資本の強烈さを知っている身としては
感慨深いものがある。
それよりも想いを馳せるのが、統合という変化に携わった
スタッフの努力である。
システム変更、リブランディングは顧客に一切の迷惑を
かけないのが100点である。1点の瑕疵も許されないのだ。
ブランド移行、統合移行により表面上何もアクシデントが
でないために全ての努力を結集する。
得点して褒められるポイントゲッターではなく、0点に抑えることで
初めて評価されるゴールキーパーのような厳しい立ち位置。
そんな環境でかつての旧友達が寝食を犠牲にして働いて、
この日の統合を迎えたことだと思う。
彼らは社内から慰労されることはあっても世間から褒められることはない。
ましてやFacebookで自己アピールに腐心する起業家の
ギラギラさ、派手さはない。
しかしながら、世間からは見えないその汗は疑いの余地なく美しい。
昨年、もう一つの出身企業グループが世を騒がせた時に、
やはり別の旧友達が火消しに走っていた。
とてつもないプレッシャーを抱えながら、山場を乗り越える
彼らもまた世間から一切の評価はもらえなくとも、
特段輝いていたのを私は知っている。
サラリーを貰うビジネスマンの多くは、昔の
プロジェクトXにあったように「地上の星」である。
目立たず、顧客のために一際輝いている。