4/15に拙著、『最強のコピーライティングバイブル』
を出版しました。
ありがたいことに、多くの方に支えられ
「人気ビジネス書」ランキングで第1位になりました!
ビジネスマンが目を通す星の数ほどあるビジネス書において、
全国1位となったわけです。嬉しいですね〜
嬉しいとともに、出版までお力を貸してくれた
関係者や編集担当者へ感謝です。
これからもよろしくお願いします!
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先週に発生した熊本地震の余波が続いている。
罹災した現地の方々を心底心配している。
当社のとても大事なクライアントの拠点も熊本や九州にあり、
かれらの安否がいまでも心配だ。
イタリアで活躍するサッカーの本田選手が、こんな発言をしている。
「日本人としてただただ心配している。が、様々な活動の
自粛は間違っていると思います」。
確かに、私が住んでいる東京でも周囲は自粛ムードだ。
SNSにおける各自の元気な発信もいつもより影をひそめる。
また元気で積極的な発信は、ご法度というような空気感が流れている。
はたして自粛すべきなのだろうか?
私は、本田選手と同様に自粛すべきではないと断固考えている。
なぜなら、経済活動を止める自粛が、現地を支援することに
つながらないからだ。
2011年の東日本大震災の時に、通販クライアントの売上分析をしていた。
東日本の売上が散々たる状況だったが、西日本の元気な消費活動によって、
大打撃を回避できた。今回被災している九州の方々が、消費活動を
やめなかったからだ。エリアに依存している店舗販売ではなく、
全国顧客を対象とする通販ビジネスモデルの恩恵を大いに感じたものだ。
すぐ自粛する悪癖は、元々、「他人のふり見て、我がふり直せ」と教えられてきた
日本人の国民性が根強く生きている。
古い話だが、昭和天皇崩御の際は、当時の人気番組
「笑っていいとも」の番組名が不謹慎という理由で変更になったり、
自粛ムードが蔓延した。
一方、5年前の東日本震災で頼もしいと思ったのが、西日本の人の
いい意味での無神経さだ。
私は、東日本震災時に1週間ほど神戸に身を寄せた。
途中、名古屋のサービスエリアで震災中継を行なっていたが、
そこで食事している人は誰もその番組に気を止めていない。
神戸では、することもなく、スポーツジムに行った。
TV付きランニングマシーンで、東日本震災の状況を
見ながら足を動かした、ふと、周囲を見ると
神戸大阪のジムに来る人は誰もその番組を見ておらず、
お笑い番組なんかを見ている。
「え、あの大震災の状況を気にならないのか?」と
驚愕した。
だが、東京はガソリンが底をつき、車が動かない時に、
大阪のガソリンスタンドは、何食わぬ顔でガソリンを
入れてくれた。西日本には、なんの影響もなかったからである。
なんて、無神経で頼もしいんだろう!と感心した。
今、関東にいる我々ができることは、
復興を祈り、できるだけの支援をすることだ。
だが、もっと肝に命じなければならないのは、
自らの活動、言動を自粛して、経済活動に
関わることを止めてしまうことだ。
それと支援活動とはまったく別物だからである。
流通の雄、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長が2016年4月7日、引退発表した。
同氏は、流通業というくくりの中で、セブン-イレブンを始めとする実績で知られる
日本屈指の名経営者だ。
ところが、自らの人事案を諮ったところ、取締役会で否決され、
退任にいたったというのが顛末である。
人生終盤にさしかかった83歳の鈴木氏には3つの選択肢が存在しただろう。
・A:まだまだ会長職として一線で辣腕を振るう
→これは、自身も意気軒昂だったので、本人が望んでいたことであろう
・B:自ら勇退し、悠々自適。各企業の顧問に落ち着く
→引き手あまたであろうし、ノウハウを執筆すれば、名実ともに
語り継がれる経営者となったであろう
・C:不本意な形で、引責する
→残念ながら、1番引きたくないカードを引いてしまった。
引退を決める引き金となったのは自らが提案した新人事案の否決である。
では、これほどまで影響力が強かった彼の案が、なぜ否決になったのであろうか?
1つには、取締役兼CIOにいる息子の存在がある。
鈴木氏は否定するが、世襲のための人事布石と映り、取締役の「信」を
得られなかったのは間違いないだろう。
ここで、注目すべきは、否決に至った背景だ。
取締役決議において、過半数に達しないことで否決、ひいては引退という
決断につながった。決議は、15名中の過半数に達することで可決になる。
否決の詳細は、実は、賛成7・反対6と賛成が過半数に達した。
しかし、白票が2名いたため、賛成は過半数に至らなかったのである。
賛成票率は、46.6%でわずか3.4%足りなかったのだ。
3.4%というか、白票の1人が賛成に投じれば、過半数に達したので可決になった可能性が強い。
そうすれば、引退ではなく、上記選択肢Aのまだまだ影響力を
発揮するポストについていただろう。
つまり、天国(選択肢A)と地獄(選択肢B)の境目は、
取締役のわずか1票だったということだ。
流通業へこれだけ大きな足跡を残した巨人が、
最後にわずか1票で晩節を汚すことになってしまったのである。
ここから学習できることとして、世襲経営の難しさや
人心への細心さ、意思決定システムの怖さなどがあるだろうが、
やはり「引き際の難しさ」が大きな学習点だ。
彼ほどの高齢になるまで、私にはまだまだ時間があるが、
プロジェクトへの関与、マンネリ感漂う仕事への
関与に、どう区切りをつけつかということの
難しさは常に感じる。
教訓として、活かしていきたい。