自粛すべきなのだろうか?

先週に発生した熊本地震の余波が続いている。

罹災した現地の方々を心底心配している。

当社のとても大事なクライアントの拠点も熊本や九州にあり、

かれらの安否がいまでも心配だ。

イタリアで活躍するサッカーの本田選手が、こんな発言をしている。

「日本人としてただただ心配している。が、様々な活動の

自粛は間違っていると思います」。

確かに、私が住んでいる東京でも周囲は自粛ムードだ。

SNSにおける各自の元気な発信もいつもより影をひそめる。

また元気で積極的な発信は、ご法度というような空気感が流れている。

はたして自粛すべきなのだろうか?

私は、本田選手と同様に自粛すべきではないと断固考えている。

なぜなら、経済活動を止める自粛が、現地を支援することに

つながらないからだ。

2011年の東日本大震災の時に、通販クライアントの売上分析をしていた。

東日本の売上が散々たる状況だったが、西日本の元気な消費活動によって、

大打撃を回避できた。今回被災している九州の方々が、消費活動を

やめなかったからだ。エリアに依存している店舗販売ではなく、

全国顧客を対象とする通販ビジネスモデルの恩恵を大いに感じたものだ。

すぐ自粛する悪癖は、元々、「他人のふり見て、我がふり直せ」と教えられてきた

日本人の国民性が根強く生きている。

古い話だが、昭和天皇崩御の際は、当時の人気番組

「笑っていいとも」の番組名が不謹慎という理由で変更になったり、

自粛ムードが蔓延した。

一方、5年前の東日本震災で頼もしいと思ったのが、西日本の人の

いい意味での無神経さだ。

私は、東日本震災時に1週間ほど神戸に身を寄せた。

途中、名古屋のサービスエリアで震災中継を行なっていたが、

そこで食事している人は誰もその番組に気を止めていない。

神戸では、することもなく、スポーツジムに行った。

TV付きランニングマシーンで、東日本震災の状況を

見ながら足を動かした、ふと、周囲を見ると

神戸大阪のジムに来る人は誰もその番組を見ておらず、

お笑い番組なんかを見ている。

「え、あの大震災の状況を気にならないのか?」と

驚愕した。

だが、東京はガソリンが底をつき、車が動かない時に、

大阪のガソリンスタンドは、何食わぬ顔でガソリンを

入れてくれた。西日本には、なんの影響もなかったからである。

なんて、無神経で頼もしいんだろう!と感心した。

今、関東にいる我々ができることは、

復興を祈り、できるだけの支援をすることだ。

だが、もっと肝に命じなければならないのは、

自らの活動、言動を自粛して、経済活動に

関わることを止めてしまうことだ。

それと支援活動とはまったく別物だからである。

 

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